LAST DAYS

ラストデイズ [DVD]

ラストデイズ [DVD]


遅ればせながら見ました。カート・コバーン最後の二日間をモチーフにした映画。監督は『エレファント』のガス・ヴァン・サント

正直この映画はカートコバーンという人物を知っている人じゃないと深く何かを感じることは出来ないと思います。そして、例えカートやNirvanaのことを知っていたとしても、楽しめる映画か、といえばそういうわけでもない。あくまでもこの作品は一人の人間の「自殺」という結末に向かって動いていく、それを分かりつつ見るわけですから。カートに少なからずの好意を抱いているとするなら、むしろ見ない方がいいと思います。なにしろ主人公「ブレイク」演じるマイケル・ピットがカートの雰囲気にそっくりで・・・なので余計に。

時折聴こえる幻聴。足を擦る音。呟く声。すべてを覆い尽くす重苦しい雰囲気・・・。決して面白い映画ではない。途中で見るのを止めそうになるくらい。だけどつまらないと言って見るのを止めてしまうほど軽い作品でもない。なぜだかひとつひとつのシーンがとても心に残る。不思議な感じ。
その淡々とした物語の中で、大きく心が揺さぶられたのが、主人公がギター弾きながら歌うシーン。あまりにも悲しくて、痛くて、思わず泣きそうになった。
とても起伏の少ない物語のなかで、この歌が主人公の内側を表しているのだとすれば、この歌がこの映画の全てだ、と僕は思った。

とても長く孤独な旅 死から誕生までの


Nirvanaの何が人を惹き付けるのか。たぶんそれは、そこに本物の「死」の事実があるからじゃないのかな。カートの声の、歌詞の、メロディの、一つ一つにずっしりとした重さを感じずにはいられない。